行きたくない
初めてのこの臀部の奥の痛みは、とても強く、家事が何も手につかないほどだった。
そんな私を心配してやって来た娘は
病院に行くように勧めるが、私は行きたくない。(病院嫌い)
娘から教えてもらってYouTubeも見た。
痛みが軽減する体操は様々な動画が上がっており、その中で自分がやれそうなのだけを少しずつ試してみた。
普段から、歩くことが少ないので、それも原因かなと思った。車の免許を取って約50年余り、どこに行くのも車だった。今もそうだ。
そろそろ生活習慣を見直す時かもしれないと思った。
歩く方がじっとしているより痛みが軽くなる。
それで散歩を始めた。 と言っても20分くらいだが。
それから数日経って、又娘がやってきて突然、座椅子を買いに行こうという。
椅子が変われば腰の痛みも少しは楽になるのではと考えたらしい。
私は普段、和室にいて座椅子に座っている。この座椅子は中々気に入ったものがなくて、先日もネットで注文したが座ってみるとなんかしっくりこず、また大きすぎて、娘に引き取ってもらった。
なので今回はちゃんと座り心地を試してから買ったほうがいいというのだ。
早く寝る
少し前まで腰の調子が悪かった。
あのトイレの水漏れあたりからだ。屈んで床を何回も拭いたからかもしれないが。
右臀部の奥が重だるいというかそれに痛みも加わって、それがだんだん強くなっていった。
湿布を貼っても何の効果もなかった。
その内、右脚のふくらはぎが痺れた様な感覚になり
少し叩いてみたり、揉んでみたりしたがやはり
効果はなかった。
そして、座っているのもだんだんと辛くなっていった。
同じ姿勢でいられないのだ。
だから、夜は早めに寝ることにして横になった。
横になると痛みは無くなった。
こんな時ネットはありがたい。検索すると私とよく当てはまる症状が出て来て、どうやら坐骨神経痛らしかった。
ああこれが母がよく言っていた坐骨神経痛かと思った。
腰のあたりをさすっては痛いと言っていた母の姿が目に浮かんだ。
そして自分がなって初めて、母の痛みに無頓着だった若い日の自分を責めた。
今は、横になると痛みは消えるが、症状が進むとずっと継続してくるらしい。
美味しいよ
昨日、白和えを作って姉に持って行ったら、今日はそのお返しなのか
ぜんざいを作ってきてくれた。
大きめのお椀にふっくら柔らかそうな小豆とこんがり焼いたお餅も入っていて、とても美味しそうだった。
お昼を済ませたばかりだったが
"デザート欲しかったから嬉しい” と言って、私は受け取った。
すると『熱いうちに食べたら』と姉が勧めるのですぐに食べ始めると
『おいしい?』と聞いてくる。
“うん” と答えると、とても嬉しそうな表情になった。
私はこんな
姉を見ると本当に不思議な気持ちになる。
物心つく頃にはもう姉は嫁いで他県にいたし、たまに帰って来ても声をかけてくれる事は一切なく、私のことは完全無視だった。
ある日、学校から帰ると茶の間から姉の声がした。
(あ、来てるんだ)と思った時、
『○○を甘やかしてばかりいて!』という怒りを含んだ姉の声が聞こえて来た。
○○とは私のことだ。
それに対して母がなんと答えたのかはわからない。
私は怖くなった。
完全無視されて、姉にとって透明人間である私は、傷ついていなかったと言えば嘘になるかもしれないが、小学生の私はさほど気にしていなかった。
しかし、その時、姉が私を嫌いなんだということがわかったのだ。
買い物から帰ったら
週に2回、姉は買い物に出かける。
背中にはリュック、手にはマイバッグをいくつか持って。
往復30分ほどの近くのスーパーだったり、いわゆるデパ地下も大好きなので、そこにもよく行く。
歩いたり、バスに乗ったり。
シルバーカーとかそういうものは使わない。
帰って来たら2階に上がる前に必ず私の所にやって来て、
今日はいつもより○○に並んでる人が多かったとか、○○がまだ入荷してなかったとか話し始める。
時には、私の好きな物を買って来てくれたりもする。
背中のリュック、両手にぶら下げたいくつもの袋は、パンパンに膨らんでいて、さぞかし重いだろうと心配になるが、
その間ずっと立ったままで、数十分話すこともある。
こちらの部屋の中には絶対入らないし、椅子にも腰掛けない。持っている荷物もどこにも置かない。
私は姉の話を聞くよりも、買い物袋の重さのほうが気になって
話しの途中でも、それを遮って早く上に行くよう促すことが多い。
もう 無理です
姉は今日も元気に買い物に行った。
あと数カ月で89歳になる。
とても元気だ。
同居し始めの頃、80歳も過ぎているし、買い物も大変じゃないかなと思い、車で何回か一緒に出かけたことがあった。
しかし…4回目ぐらいで、もう止めようと思った。
とにかく……
時間がかかりすぎるのだ。
よく行くそのスーパーは、家から15分くらいの所にあるのだが(徒歩で)
車で行っているにもかかわらず、買い物を終えて帰って来るまで毎回3時間以上かかるのだ。
店内では別行動で、私は大体、30〜40分くらいで買い物を済ませる。
姉は私よりは時間がかかるだろうと初めから予測していたので、少しぐらい待つのは想定内だった。
しかし、私が自分の買い物を終えて30分以上経っても、姉の姿は一向に現れず
痺れを切らしてもう一度店内を探し回ったりしたが、とにかく商品を選ぶのが遅い。
そして、やっとレジを済ませてマイバッグに買った品物を入れるところから
又、長い時間が始まる。
買った物を全て、あの備え付けのポリ袋に一つ一つ入れるのだ。
(例:板チョコ2個 → 1個ずつ別々のポリ袋に)
これには本当に驚いたが、理由はやはり “ばい菌” 予防? らしかった。
それにこんなにポリ袋使って、時代にも逆行してるし…
しかし何より時間が一番もったいなかった。
例外
だが、唯一、姉がそういったことを一切気にしない人物がいる。 それが義兄だ。
例えば
真夏に外出先から帰宅した義兄が、シャワーも浴びずにそのまま数日過ごしても、姉は何とも思っていないようなのだ。
それがわかったのは、同居して初めての夏、義兄と話していて、汗の臭いが気になった。
そしてその後もそう感じることが多かったので、デリケートな話題だが、思い切って姉に聞いてみた。
すると、
『ああ、あの人ね、お風呂嫌いなのよ、3〜4日に1回くらいしか入らないの』と言う。
このことを、事もなげに話すのである。
(はぁ?? 確か. "ばい菌" がイヤでたまらなかったんだよね? 不潔が一番嫌なんだよね?)と呆れて思わず突っ込みそうになったが…姉は全く気にしていなかったのだ。
そう…夫だけは例外なのだ。
汗臭くても、何日お風呂に入らなくても全然いいのだ。
……??
まあ、それだけ仲が良いってことかもしれないが…。
いつから
"いつからあんな風になったんだろうねえ…" と亡くなった母がよく言っていた。
30年くらい前までは、甥の○○が訪ねた時とか泊めてくれてたし、普通だったよね…
と二女の姉が言えば、
いやその時も”手を洗う様に何度も言ってきた”って聞いたぞ と兄が思い出して話したり
そういえば その頃親しくしていた○○さんが、凄い潔癖症だったから、その影響を受けてしまったんじゃ?
とか…色々な憶測が私たちの間で飛び交ったが
本当のところというか、原因? は誰にもわからなかった。
常に "ばい菌" が怖いので誰にも訪問されたくないし、訪問したくもないのだ。
諸事情により私と同居するようになったが、姉独特の生活スタイルはずっと維持しているのだった。