美味しいよ
昨日、白和えを作って姉に持って行ったら、今日はそのお返しなのか
ぜんざいを作ってきてくれた。
大きめのお椀にふっくら柔らかそうな小豆とこんがり焼いたお餅も入っていて、とても美味しそうだった。
お昼を済ませたばかりだったが
"デザート欲しかったから嬉しい” と言って、私は受け取った。
すると『熱いうちに食べたら』と姉が勧めるのですぐに食べ始めると
『おいしい?』と聞いてくる。
“うん” と答えると、とても嬉しそうな表情になった。
私はこんな
姉を見ると本当に不思議な気持ちになる。
物心つく頃にはもう姉は嫁いで他県にいたし、たまに帰って来ても声をかけてくれる事は一切なく、私のことは完全無視だった。
ある日、学校から帰ると茶の間から姉の声がした。
(あ、来てるんだ)と思った時、
『○○を甘やかしてばかりいて!』という怒りを含んだ姉の声が聞こえて来た。
○○とは私のことだ。
それに対して母がなんと答えたのかはわからない。
私は怖くなった。
完全無視されて、姉にとって透明人間である私は、傷ついていなかったと言えば嘘になるかもしれないが、小学生の私はさほど気にしていなかった。
しかし、その時、姉が私を嫌いなんだということがわかったのだ。