子供達
母は19歳で結婚し、6人の子供を産んだ。
20歳で姉、そして、最後に38歳で私を産んだ。
結婚生活は、最初の7〜8年は順調だった様だが、その後は父の女性問題でかなり苦しんだ。
そんな母を姉は一番、非難していた。
さっさと別れず、それどころか子供ばかり産んでということらしかった。
私が生まれることを知った時は、本当に恥ずかしかったと言った。
母は大正生まれだ。
結婚した頃は避妊方法だってろくになかったろうし、ましてあの時代、働いたこともない母が何人もの子供を連れて離婚の決意をするのは容易ではなかったと思う。
姉は浮気をしていた父のことはあまり悪く言わない。
それより父にどんなに可愛がられていたかをよく話す。
幼稚園の入園式の写真を見せてくれながら、この時、当時珍しかった革靴や襟元に白いレースの付いたビロードの服を父が買ってきてくれたこととか、勉強で良い点をとるとどんなに父が褒めてくれたかなどだ。
私は10代の頃は、こんな話を聞くたびになんとも言えない気持ちになった。
姉と違い私は父との関わりはほとんどない。
たまに帰ってくると、数時間いてまた直ぐいなくなるという感じで話すらあまりしたことがなかった。
しかし、年月が経つにつれて
いつも難しい顔をしている父を見ると、この人が外で女性と? と思い嫌悪感すら覚えるようになった。